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話題騒然!!人ごとと思っていては危ない、『かびんのつま』に描かれた【化学物質過敏症】の衝撃の真実!!!<前編>

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スペリオールで連載中の『かびんのつま』は、化学物質過敏症を扱っている。そのあまりにも〝現実離れ〟した描写に驚きの声が絶えない。化学物質過敏症(Chemical Sensitivity略してCS)――厚生労働省が認めているにもかかわらず、まだまだ理解されていないこの病気について、日米環境化学物質研究のパイオニア・元北里大学医学部長・石川哲名誉教授に、著者のあきやまひでき氏が自ら直撃インタビューを行った! その内容を2回に分けてご紹介!!


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石川哲(いしかわ さとし)
北里大学名誉教授。1932年生まれ。東北大学医学部卒業。神経眼科学のほか、有害環境化学物質による人体毒性の研究を専門とする。ニューヨーク大学神経眼科学助教授、北里大学医学部長、北里研究所臨床環境医学センター長を歴任。
化学物質過敏症については、1998年から6年間、厚生省厚生科学研究「シックハウス症候群を含む化学物質過敏症」の研究班長に就任するなど第一人者として活躍。
<主な受賞歴>1996年、有機リン系殺虫剤の慢性神経毒性に関する研究で、米国環境医学アカデミーより学会最高賞「ジョナサン・フォアマン賞」。日本国内では、第7回・第28回「総合医学賞」。2013年には、化学物質過敏症の研究で「遠山椿吉賞」を受賞。



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スペリオールにて話題騒然連載中の『かびんのつま』第1集



――〝そもそも化学物質過敏症なんて病気が有るのか?〟なんて議論をしている場合ではないと思うのですが......いまだにそんな意見も聞かれます。そこで、まず単刀直入にお聞きします。【化学物質過敏症】は、医学的に証明された、れっきとした病気なんでしょうか?



 厚生労働省も2009年に病名登録しました。したがって、病院で診察が受けられ、健康保険も効きます。にも拘わらず医師の中にも、本症に関心がなく理解しようという努力をしない人がいることも事実です。だからいつまでもこの病気について非常に低いレベルでの議論しか行われていないんです。



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主人公の妻、かおりは独自の理論で過敏症を表現する。



――では、石川先生をはじめとして、化学物質過敏症の研究にはどんな背景があったのでしょうか。


 「化学物質過敏症」という名前が出てきたのは、1970年代始めの頃です。アメリカのランドルフという小児科専門医師が、アレルギー関係の学術誌に記載して以降、現在まで研究が続いています。
 当時、日本では東京大学医学部眼科にいた私、第三内科の宇尾野公義、小児科の瀬川昌也、そして佐久市立浅間病院副院長の大戸健といったメンバーが、眼科学主任教授で厚生省の「特定地区に多発する視力低下児童の診断設定に関する研究班」班長だった鹿野信一のもとで「抗コリンエステラーゼ剤の投与後の眼を含む神経系(含む大脳辺縁系)に与える影響」という研究をしていました。その中で、長野県の佐久地区に「視力低下」「視野狭窄」、さらに程度のひどい例では、「片足立ち不能」「跳び箱がうまく飛べない」「バビンスキー反射(脊髄の神経経路に関する病的な反射のひとつ)」といった症状が出ている子供が集中しているという報告を受けたんです。現在では「佐久病」と呼ばれるものですね。そこで先ほどのメンバーが市立浅間病院で原因追求と治療研究を開始しまして、すぐに原因をつきとめました。それが、あの地区で年に数回空中散布されていた有機リン農薬3%マラチオンでした。


――有機リン殺虫剤の専門家である石川先生たちは原因がわかってからは、どのように対応されたんですか?


 真っ先に、神経毒性の強いマラチオンのヘリ散布を中止してもらい、注意深く状況を追跡しました。児童たちをできるだけ有機リン剤から遠ざけましたし、強力に薬物療法も行いました。すると、数年の時間がかかりましたが、患者の新規発生はなくなり有機リンに罹患した児童の症状は徐々に改善しました。これらの研究は海外に向けて報告されて、世界で最初に「慢性有機リン系殺虫剤による中毒症」として明らかにされました。これが結局、ランドルフのいう化学物質過敏症と同じだったんです。医学的には「Optico-Autonomic-Peripheral Neuropathy(眼・自律神経・末梢神経障害)」とまとめられ、フランス・米国・イギリス・その他先進国に次々と報告が続けられました。これにより、私たちの有機リンの慢性中毒に関する論文は、米国国立保健研究所(NIH)により追試・確認され、約10年ほどかかりましたがこの疾患が世界で認められました。この間に何度か米国の環境医学学会の学者と交流を持ったのがきっかけで、日本での化学物質過敏症の研究も本格的にスタートしたんです。この辺りのことは『Journal of Applied Toxicology(USA),14:103-154,1994.Symposiumon ocular effects of organophosphate exposure.』という文献に載っていますので、読んでみてください。



「化学物質過敏症」とは?――中毒・アレルギーとの差を、知る!


――さて、お話の中に「有機リンによる中毒」というものが出てきましたが、ということは、「化学物質過敏症」は「中毒」ともいえるということでしょうか?


 〝両方含まれている〟と考える方がよいでしょうね。どういったものが中毒で、どういったものが過敏症なのかというのは定義が難しく断定できません。過敏症・アレルギー・慢性中毒――その3つの境界線をはっきりと引くことはできないんです。
 例えば、有機リンの慢性中毒は、体内に蓄積した毒素が人間の神経系伝達物質の代謝に関わる酵素の働きを阻害してしまうのですが、対応する酵素の種類はコリンエステラーゼ、パラオキソキナーゼ、その他いくつかの酵素に限られてきます。でも本来、人間の身体は多くの酵素の働きを受けて生きているわけですから、例えばその中の10種類もの酵素の機能が低下すると、1種類だけが低下している人に比べてどうでしょうか?


――単純に考えて、10倍敏感に反応してしまうのでは?


 そうですよね。そして、そういった酵素の働きというのは遺伝的な影響により差が出る。これが化学物質過敏症の原因なんじゃないか、というふうに考えている人もいます。


――遺伝的な差、つまり体質の問題といってもいいのでしょうか。だとすると、このあたりが患っている本人とまわりとの化学物質過敏症への理解の差なのかもしれませんね......それからアレルギーと比べると、どうでしょうか?



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家族でさえ、過敏症の苦しみを理解するのは難しい。



 化学物質過敏症はアレルギーとも似ています。ただ通常、アレルギーは原因となるダニ、カビ、花粉などといった特定の「アレルゲン」があって、それに免疫が過剰に反応して起こります。一方、化学物質過敏症も、最初にある程度の化学物質に曝(さら)されると、次回以降その物質に対して極めて少量でも接触すると敏感に反応しますが、アレルギーと違うのは、時にその本来の原因物質以外の物質にも過剰に反応してしまうことなんです。


――かおりも「食品添加物」「農薬」「カルキなどの消毒臭」「排気ガス」「香料」なんかにも発症します。きっかけがどの物質だったのかはわかりませんが、生活の中で使われている多くの化学物質に対して過敏になっています。そんな化学物質過敏症はどのように定義できるのでしょうか。


 ここで1999年12月のアメリカの合意事項という定義について述べましょう。まずは①症状の再発と再燃。そして②その状態がしばらく続きます。それから、中毒とは違い③低用量の物質への曝露でも過敏反応しますが、④その原因を除去すれば症状は改善に向かいます。また、⑤化学的に無関係な多種類の物質にも反応し、⑥多臓器由来の症状を示す、というのも特徴ですね。
 ③については、ほんとにわずかな量でも反応しますね。私が過去に経験した例で、"ああ、この人は「化学物質過敏症」の患者さんだな"と実感したことがありました。その人は紙パルプの工場で働いた人で血液の有機塩素値が高かった人です。私のところに京都から新幹線で通っていたのですが、ある場所を新幹線が通過するとき、寝ていても急に目が覚めると言っていました。そして身体の不快感に気がつき、化学物質過敏症の発作が起きてしまうそうです。これは、その場所が工場地帯なので排気ガスの臭いに新幹線の中からでも身体が反応するのでは、と考えました。これが③の低用量の物質への曝露に当たります。



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次々と、さまざまな化学物質に過敏になっていく。



〝電磁波〟に対しても過敏症があるのだと、知る!


――低用量の物質という以外に、⑤過去に接点のない化学的に無関係な多種類の物質にも反応してしまうともありますが、化学物質以外、たとえばかおりのように家電などから出る「電磁波」に過敏になってしまうという症例もあるのでしょうか。


 それは化学物質過敏症とは別の「電磁波過敏症」ですね。ロンドン大学のスミス博士が臨床では最初に言い出しました。
 化学物質過敏症の世界的な権威でもあるドイツのルノー先生も、電磁波過敏症については20年前から治療を行っていますね。私や北里大学の宮田幹夫教授、ダラスのレイ教授とも一緒に研究を続けていましたが、彼はバート・エムスタール(Bad Emstal)という地域に温泉付きの治療室をつくったんです。そこの入院室は電磁波を極力防ぐための工事が、アースも含めて厳重に行われていました。



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見えないからこそ恐ろしい電磁波。
しかも現代人の生活圏内では、さまざまなものから電磁波が発生している。



――石川先生は電磁波過敏症については、どうお考えですか?


 私がこれを疾患として考えるべきか?という問題に初めて接したのは、先述ドイツでの経験からです。患者さんと接する機会を得る事ができたのは、週末に休暇をとって、化学物質過敏症の患者さんたちと一緒に、スペインにある化学物質過敏症の患者専用の保養所とされている病院にバスで移動中のことでした。アウトバーンを走行中、高圧線が横切ってる所を通過すると、夜で外が真っ暗にも拘わらず、私の近くに座っていた患者さんが〝先生、今頭上に高圧線が走ってますよ〟と教えてくれたんです。それぐらい電磁波に敏感な人でした。診ると右手の背部の筋肉が軽く痙攣していました。私はこのとき初めて〝電磁波過敏症は、化学物質過敏症の患者に併発することがあるのだ〟ということに気がつきました。


――電磁波過敏症もやはりなかなか世間一般で理解されているとは思えず、苦しんでいる人が多いと思います。化学物質過敏症と併発しているのなら、なおさらですが。


 電磁波過敏症について詳しく研究しているのは、北里大学医学部名誉教授で、現在は東京の荻窪で"そよ風クリニック"を開業している宮田幹夫先生です。彼に診てもらえば、適確に指導してくれると思います。
 電磁波の人体影響に無関心ということでいえば、あるアメリカ映画で、出産間近の妊婦さんが入院中に、ぷっくり膨れたお腹の上に電話機を置いて「ハロー、ハニー」なんて電話をかけてる場面を見て驚いたことがあります。これはとんでもないことで。胎生期の赤ちゃんが電話機器からの電磁波の悪影響を胎内でもろに受けてしまうのではないかと心配しましたよ。



 後編では化学物質過敏症の見分け方や、対処方法などを教えていただきます!


 化学物質過敏症を患う妻との愛と闘病の日々をつづった実録コミック『かびんのつま』はスペリオールで絶賛連載中。その真実の姿を目撃してください!!


※このインタビューは単行本『かびんのつま』第1集に収録されているものの再録です。



(スペリオール編集部)

【2014/06/18】

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かびんのつま 1
あきやまひでき

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