• TOP > > 【インタビュー】藤田和日郎、皆川亮二、島本和彦......! 漫画と漫画家を《徹底解剖》するシリーズ『漫画家本』! その「ねらい」と「読みどころ」を責任編集者と担当編集者に聞く!(その1)

new【インタビュー】藤田和日郎、皆川亮二、島本和彦......! 漫画と漫画家を《徹底解剖》するシリーズ『漫画家本』! その「ねらい」と「読みどころ」を責任編集者と担当編集者に聞く!(その1)

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人気漫画家とその作品について《徹底解剖》するシリーズ、『漫画家本』が刊行!


しかも、文芸系の出版社が出している漫画家特集本とは違って、作っているのは、漫画家と深いつながりがあり、作品の現場をよく知っている小学館自身だ。
今、なぜこの『漫画家本』を世に問うのか。そのねらいとは何か? そして『漫画家本』が、数ある漫画家研究本や、雑誌の漫画家特集号とどう違い、どういうコンセプトと信念、そして志のもとで作られているのか!?


『漫画家本』の責任編集である三上信一・小学館第4コミック局プロデューサー兼コミックス企画室室長(『アオイホノオ』の焔燃の初代担当としてもおなじみ!)と、その『漫画家本』の第1弾『藤田和日郎本』・第2弾『皆川亮二本』・第3弾『島本和彦本』の編集・構成を担当されたライターの島田一志氏に、『漫画家本』の「ねらい」と「読みどころ」などのお話を伺いました!


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「こういう本こそ、小学館が出すべきじゃないですか」


――まず、『漫画家本』のそもそもの企画の始まりはどのようなものだったのでしょうか?


三上 私は「少年サンデー」や「ヤングサンデー」の編集長をやっていたのですが、島田君はもともと「ヤングサンデー」の編集部に編プロから出向していた人で、その後、退社してフリーになったんです。その後、私が今の文庫版やワイド版コミックスなどを作る部署(第四コミック局)に来てから、解説を書いてもらったり、ライティングの仕事などを頼んだりと、一緒に仕事するようになったんです。


島田 三上さんと飲みに行った時に、僕はフリーの立場から「小学館の漫画家の特集号が、他の出版社から出ていますが、これでいいんでしょうか?」と、話したんです。僕は他社でそういった作家特集号などにも関わっていたんですが、「ああいう本は、本来、小学館のような版元が出すべきではないでしょうか」と。


三上 私も編集長時代に、担当作家の特集本が、他社から発行されるということがよくありました。とはいえ、他社が出すと言っても、資料整理や図版の手配などの作業の一部は、忙しい中、それぞれの漫画誌の編集部員がやることになるわけです。だったら、自分のところで出せばいいんじゃないかとは思ってはいたんですが、そういうことをする部署がまずなかったんですね。
じゃあ、本来は、いちばん作家のことをよくわかっている編集部が作ればいいんでしょうが、みんな自分の日々の業務に追われていて、とてもそこまで手が回らないし、かといって、文庫やワイド版コミックスなどを作る部署に頼もうにも、たいてい自分たちよりも先輩だったりするので、こういう大変な企画を頼むわけにもいかない。作家がたくさんいるのに、そういう作家本を作ろうという編集者がいない。さらに、そのノウハウもない状態だったんです。
そのうち、自分が作家本の企画を出せる部署に移った。他社で作家本を作ったことがある島田君もいる。作家本のノウハウを持っている彼と組めば、いよいよ出来るんじゃないかと。


島田 一緒に飲むたびに、常にそういう話をしていたので、どのタイミングで企画書を出してもよかったんですが、ある時期に、第1号『藤田和日郎本』と第2号『皆川亮二本』の形がなんとなく「見えた」というか、「降りてきた」ような瞬間がありまして。三上さんに「あれ、そろそろやりませんか」みたいな感じで、企画書を出したら、それが通って、この『漫画家本』の企画が始動した、というわけですね。


三上 それまでも、漫画家の何十周年の記念本のような本を作ったりしていたんですが、記念本は一冊こっきりで終わりですよね。このような形で続いていくものがやりたかった。大変だというのは、2人ともわかっていて、他の仕事をやりながら、なんだかんだで1年2年かかってしまいましたね。


島田 いい企画は会議じゃなくて飲み屋で生まれる、といったことが言われますが、まさにそんな感じでした。



版元である小学館が『漫画家本』を出す意味とメリット


――やはり、漫画家を直接知っている版元の小学館が自ら『漫画家本』を出すということに「メリット」はありますか?


島田 ありますね。実際に他社で類書の編集をやっていたのでわかるんですが、インタビューするにしても「2時間だけね」とか、イラストを使うのも「何点まで」みたいな制限があったりするんですよ。でも、この『漫画家本』では、漫画家さんのインタビューは何度でもできるし、小学館の図版に関しては基本的には制限なく使えます。もちろん、他社の図版には制約はありますが。


――他社の本の場合、インタビューにしろ、資料にしろ、漫画の担当編集者からすると、「そこまで手伝えないよ」と言われる場合もあるかと思いますが、社内で作れるのは強いですよね。


三上 そうですね。作家にちゃんと寄り添っている編集者だと「他社で何か出したい」ということになったら「それがその作家ためになるならOK」という人もいるでしょう。でも、その上司も同じ思いかといえば、そうじゃないかもしれない。この『漫画家本』だと、その辺のややこしさがなくて、販売も編集も全員が応援できるというのが大きなメリットだと思います。


――他社だと、「あれだけ手伝ったのに......」と残念な結果になることもあるかと思いますが、そういう意味では全社一丸となって本を出せるというのはいいですね。


三上 そうですね。他の会社から「本を送ってくれ」「確認してくれ」といわれるストレスがないのはいいですね(笑)。他社の場合は、本当は自分のところで作りたいのに、「作家のため」と自分に言い聞かせながらやっていることが多い。社内だと、どれだけでも好きなだけ本を持っていってもらってもいいし。やっぱり、社内で読み合わせが出来るので、やりやすいんですよ。もちろん、他社でとりあげてくれるのもありがたい話だとは思うんですけどね。


――『漫画家本』のラインナップは、けっこう意外性があると思うのですが。


三上 もし、小学館の編集者だけで作ったら、1号目はあだち充先生、2号目は高橋留美子先生といった「王道」のラインナップになるんでしょうが、島田君の趣味が偏っているので(笑)。でも偏った本を作った方が面白いだろうなと思ってます。


――ゲストも豪華ですが、このあたりのオファーに苦労はありましたか?


島田 いえ、どの『漫画家本』のゲストも、基本的には断られていないですね。そこは本当に助かっています。


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――三上さんはどのような形で関わっておられるんですか?


三上 基本的な編集作業は、ほとんど島田君や、他の編集者に任せています。私がすることは、本の内容に関して責任を取ること、そして、これまでの人間関係を駆使して、作家さんの取材OKをもらうこと。そして他の編集部に「こういう本作るからよろしくね」と根回しすること。


島田 理想的な上司です(笑)。


三上 で、行きたい時だけインタビューに顔を出す。島田君は大変かもしれないけど。自分にとっても理想的な立場です(笑)。


島田 僕は校了前、寝る前に「どうしよう...」と不安になったりすることはありますけどね(笑)。


三上 自分はもう、面白くて仕方がない。読んでいるだけだから。面白いことしかやっていないので、全然疲れないんですよね(笑)。



「インタビューは、基本カットしません!」


――『漫画家本』シリーズは各号の漫画家の先生のロングインタビューも圧巻ですね。


島田 僕が担当した『藤田和日郎本』『皆川亮二本』『島本和彦本』の3冊に関していえば、1日あたり2、3時間、最低でも3日間、お話を聞いているんですよ。よくロック雑誌とかで「2万字インタビュー」とか売りにしてますけど、こちらは基本3万字以上ですから(笑)。


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――確かに、藤田先生が3万7千字、皆川先生が4万7千字と、どんどん増えていっていますね。


島田 最初の藤田先生の時は、インタビューをそんなに長くする予定はなかったんですが、削るのがもったいない話が多くて、全部入れちゃえと。『藤田和日郎本』が出てみると、読者の方は、そこに一番食いついてきてくれたんで「じゃあいいや」と。それで、2号目以降は、インタビューを「核」にして構成するようにしましたね。


――通常のインタビューだったら「面白いエピソードだけど切らなきゃいけない」というジレンマがある思いますが......。


島田 実は全部入れてます(笑)。ライティングも編集も自分でやっていて、「台割表」も僕が作っていますから(笑)。


――インタビューの「取れ高」に合わせて、ページの構成の方をいじれるというわけですね。


三上 だから長くなる一方なんです(笑)。〈インタビュー後半に続く〉


『漫画家本』スタッフインタビュー [その1][その2]


インタビュー後半では実際に三上氏、島田氏が手掛けた漫画家本それぞれのポイントを語っていただきます!!


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小学館の『漫画家本』シリーズは絶賛発売中です!!




(取材・構成/山科清春)

【2018/03/31】

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漫画家本vol.1
藤田和日郎本

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吉田秋生本

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