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【新春企画】高橋しん 新連載『かなたかける』スタート直前!インタビュー(その3)【1月4日発売「スピリッツ」6・7合併号より連載開始】

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1月4日(月)発売の「週刊ビッグコミックスピリッツ」6・7合併号からスタートする新連載『かなたかける』。「スピリッツ」で『いいひと。』『最終兵器彼女』などの大ヒット作を手がけてきた高橋しん氏の新作は、箱根を舞台に駅伝にかける少年少女の青春を描く「駅伝ロマン」!
自身も山梨学院大学の選手として、第63回箱根駅伝の最終10区を走った経験がある高橋氏に、箱根駅伝翌日にスタートを切る新連載への意気込みをコミスンが独占インタビュー!!


新春特別企画として1月1日から3日まで連続掲載! 明日の「スピリッツ」発売を目前に、第92回箱根駅伝[復路]と合わせてお楽しみください!!


『かなたかける』高橋しん氏インタビュー [その1][その2][その3]



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――漫画家やイラストレーターの仕事を見ていると、実はアスリートに近いと思うことがあります。頭の中でイメージした線を描くのは、思い通りに手を動かす訓練を重ねた肉体だからできるのかなと。


物語を考えるのも、わりと運動神経みたいなところがあるんですけど、絵を描くのも、考えるより慣れるほうが早いというか。今は自分もペンタブレットで描いていますが、以前はPhotoshopで漫画の画面を作るためのツールとして使っていても、これで絵を描くのはないと思っていて。ある時、ネームをコミスタ(ComicStudio)でやろうと思って描いているうちに、いつのまにか線が引けるようになっていました(笑)。デジタル導入を迷ってる作家さんは、ネームからやるのがお勧めです。練習だと思うとなかなか時間を取れませんが、仕事としてやっているうちに身体が覚えていくので。


――描く上で、アナログとペンタブレットの違いはありますか?


紙に描いている時は、実は自分の手で隠れてしまうというのが絵を描く上ではよくなくて、ちゃんと確認しながら描かないとバランスが悪くなってしまうようなことがあるのですが、ペンタブレットだと、画面に障害物がない状態で描けるので、そういう意味では楽になったかなと思います。


――最近は液晶ペンタブレットを使う人も多いですが、あえて板タブを使う人で「手で隠れないのがいい」という話はよく聞きます。


板の方が気軽なのがいいんです。丸ペンとかスクリーントーンみたいな専門のものは仕方がないですが、週刊漫画家は数時間が命取りになりかねない仕事なので、身近に手に入る道具で仕事をしなければいけないと思っていて。液晶ペンタブレットだと故障したからすぐに代わりを用意するというわけにはいきませんからね。PCも、昔はDaystarDigitalというMac互換機メーカーのGENESISというCPUを4つ積んだ1台200万円くらいする専門的なマシンを使っていたりしましたが、いまはiMacが使えるので、最悪トラブルがおきてもすぐ買えないこともないですし。



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――仕事をする上で、道具としての気軽さが重要なんですね。


以前は、Macが1台故障すると「メインで使ってるやつなのに、カラーの作業があるからどうしよう」みたいな感じで、なかなかトラブルが解決せずに何時間もトラブルシューティングと再起動を繰り返すみたいな感じで。昔は、Photoshopで600dpiの解像度で漫画を描こうと思うと、高価なPCにRAIDを組んだHDDでなければ難しかった部分もあったのですが、今はもうiMacを買ってくればいいので。


――昔はハイスペックのMachintosh QuadraとかPowerMacを漫画に使おうと思うと、かなり高額になってしまいましたからね。


今は、若い人でもCLIP STUDIOなんかですぐに始められますよね。Photoshopでは、ああいう綺麗な線を引くことはできなかったので、描画エンジンの進化には驚きますね。それほど頑張らなくても、漫画専用のツールで環境が作れるというのはすごいことだと思います。


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――『かなたかける』は完全にデジタルでの制作になるんですか。


今は自分のペン入れまではComicStudioで、スタッフさんの背景はアナログなので、それをデジタルで合成して仕上げます。そういう意味ではフルデジタルではありません。昔は、データで入稿すると「色が違うんですけど」「ちゃんとデータ通りに出してます!」みたいに印刷所さんとやりあって、間に入る編集者はわけがわからないみたいなことがあったので(笑)、カラーもプリンターで出力したものを入稿していましたが、今は色見本と合わせてデータを渡せば印刷所さんもいい色を出してくれて、だいぶ環境も変わったので。『雪にツバサ』の途中から、すべてデジタル入稿しています。


――最後に「スピリッツ」読者さんが気になっているだろう事をお聞きしたいのですが、『花と奥たん』はどうなりますか?


いまのところ、次の話のプロットはできていて、料理も決まっているので、あとは料理を作るだけです(笑)。一応、『かなたかける』と同時進行的にネームは形にしていきますので、たとえば小学生編から次にいく時とか、キリのいいタイミングでやらせてもらえれば。逆に、何年間も誌面に出ていないので、今の「スピリッツ」の読者さんにも『かなたかける』を描いている人が、『花と奥たん』という作品も描いているので、こっちのも読んでくださいというほうが、むしろ『花と奥たん』にとってもいいんじゃないかなと思うところもあって。


――『花と奥たん』ファンの人はお楽しみに、ということで(笑)。


順番的には前後しましたが、企画としては、『雪にツバサ』のほうが『花と奥たん』より先にあったもので、『花と奥たん』の続きはまだかといわれても、自分の中ではこちらが先なんですという思いで描いていました。でも『かなたかける』は完全に後発なので、これからは『花と奥たん』を待ってくださる読者さんのためにも、一緒に描いていきますから、どうかよろしくお願いします。


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――掲載ペースのまったり具合もふくめて『花と奥たん』らしいかなと。


テイストが違う感じというか。自分の作品の中では、わりと『いいひと。』派、『最終兵器彼女』派、みたいに読者さんが分かれていたりするんですけれど。若めの人だと『きみのカケラ』を小学生の頃から読んでいました、とか。今だと少女漫画の『あの商店街の、本屋の、小さな奥さんのお話。』シリーズもありますが、「高橋しんなら、こういう漫画」と自分で決めてしまうのはもったいないと思うんですよね。子どもの頃、『がきデカ』が好きで、山上たつひこ先生の作品を探して読むと、元々かなり大人向けの作品も描かれていて、「おおこれは...なんかすごい世界!」みたいな。昔は一人の漫画家が少年漫画から少女漫画まで描いているのが普通で、作家さんをベースに普段読まないようなジャンルに触れることができましたが、最近はそういう傾向も少なくなってきたので......。


――青年誌から少女漫画まで、色々なところで描かれているのはそういうことを意識されているからなんですね。


「漫画家はけっこう色々なタイプのものを描きますよ」って。そこをきっかけに幅を広げて、いろいろな漫画を好きになってもらえればというのは意識しています。ツイッターでも書いたのですが、自分の意識としては、同じテイストの連載作品は描かないようにしていて。『かなたかける』も、入り口は「高橋しん」だったり、「スピリッツ」だったり、「駅伝」だったりすると思いますが、なにより読者さんに「新しいもの」を楽しんでもらうために、これまでと違った作品をどう描けるかを楽しみにしながらやっています。とりあえず、いまのところかなたちゃんが可愛く描けているからいいかな、と(笑)。


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――ひとまずは、読者さんがお正月の箱根駅伝で高まった駅伝熱をそのままに、4日発売の「スピリッツ」で第1話を読んでいただきたいですね。


連載開始のタイミングとか、アオリ文とか、担当さんがすごく寄せてくるんですよ(笑)。漫画としての面白さは当然ですけれど、やはり興味をもって手にとってもらうことがスタートですので、そのためにタイミングを合わせてくれたり、個人でなくチームで作り上げる、どうやったら盛り上がるか知恵を出し合って実現していくというのは、雑誌連載の醍醐味だと思います。「箱根駅伝出場の作者」というのもだいぶ昔のことなので恥ずかしいですが、箱根を走った漫画家さんは私以外まだいらっしゃらないと聞きますので......。自分で誇ることができるものなので、それで興味を持ってもらえるのであれば嬉しいなと思います。(2015年12月17日収録)



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『かなたかける』第1話は「週刊ビッグコミックスピリッツ」6・7合併号(1月4日発売)よりスタートです!!



『かなたかける』高橋しん氏インタビュー [その1][その2][その3]



(インタビュー/構成:平岩真輔)

【2016/01/ 3】

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