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さりげない暖かさにホッとする、アニメ作画監督奮戦記! 宇仁田ゆみ『パラパラデイズ』/アニメ評論家・藤津亮太のアニメな?漫画【第5回】

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原作の映像化や、その逆のコミカライズなど、近年とても密な関係にある漫画と映像作品。でも、メディアが違えば表現方法やその内容も変わってくるもの。アニメ評論家・藤津亮太氏ならではの切り口で、アニメやドラマ、映画と関りの深い作品を紹介する漫画レビュー。観てから読むか? 読んでから観るか!? 第5回のレビュー作品はこちら......!



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『パラパラデイズ』宇仁田ゆみ


 アニメ制作を題材にしたマンガは、これまでにもいろいろな視点・切り口から描かれてきた。本作『パラパラデイズ』もそんな「アニメ制作マンガ」のひとつだが、特徴はキャリア"10年ちょい"で作画監督の仕事に忙しいアニメーター・八嶋くんを主人公にしたこと。


 「若手の頃、『この業界、10年頑張れば、好きなことできるようになるよ』といわれた」。これは以前、取材でとある監督さんが言っていた言葉。それは「そこまでちゃんとキャリアを積めれば、責任者として主体的に作品にコミットできるようになる」ということでもある。八嶋は、まさにキャリア的にそのポジションにある。そして、八嶋くんの日々の悩みもそこから生まれている。


 まだまだ"若輩"という気持ちと、でも後輩の面倒はちゃんと見なければという"使命感"。そして、そろそろ"若くないな"ということを実感する体の調子。第1巻では、そんな「上」と「下」に挟まれた八嶋くんの悩める日々が、ユーモラスに綴られていく。


 アニメーターという特殊な職業が題材ではあるが、八嶋くんの思い悩むアレコレには、どんな職場でも"中堅"ならば誰もが共感できる普遍性がある。そこが本作の魅力といえる。あまり専門用語を使わなかったり、「アニメのできるまで」的な解説を入れていないのも、「お仕事もの」としての普遍性を浮かび上がらせるための判断なのではないだろうか。


 ちなみに第1巻の舞台となるのは、アニメ『風の少女ミル』の制作現場。同シリーズは全11話というから、「ノイタミナ」作品を想定しているのではないだろうか(全11話という放送枠は「ノイタミナ」ぐらいしかない)。そういえば本作を描いた宇仁田ゆみの『うさぎドロップ』も「ノイタミナ」枠でアニメ化されていた。


 第1話で八嶋が、原画をカット袋から出して、その絵柄や紙についている匂いから、描いた原画マンがどんな人間かを想像するあたりに独特なリアリティがある。そして『ミル』のスタジオにやってきたのが若手アニメーターの鹿子。やる気はあるが、出来上がりにはムラも多い鹿子の将来の夢は監督になること。八嶋と、彼と対照的な鹿子が軸となってお話は進んでいく。


 第1巻で『風の少女ミル』の制作は終了。第2巻では、また別作品の現場が舞台になるという。果たしてどんな展開になるのだろうか。



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キャリア10年ちょいの中堅アニメーター・八嶋くんは、気付けば作画監督を任される立場に。自分の絵に没頭したい気持ちもありつつ、後輩に指示を出す役割に少し戸惑ったりする毎日。ある日、カット袋から取り出した原画から"チョコみたいないちごみたいな匂い"がすることに気付いた彼は、その絵を描いたアニメーター、鹿子さんが気になり始めて......。『うさぎドロップス』の宇仁田ゆみが丁寧に描く、厳しくも暖かい現場にホッとするアニメ作画監督奮戦記!!



(文:藤津亮太)


1968年生まれ。静岡県出身。アニメ評論家。主な著書に『「アニメ評論家」宣言』、『チャンネルはいつもアニメゼロ年代アニメ時評』がある。各種カルチャーセンターでアニメの講座を担当するほか、毎月第一金曜に「アニメの門チャンネル」でアニメの楽しみ方を紹介するネット番組を行っている。(twitter:@fujitsuryota)

【2017/05/23】

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パラパラデイズ 1
宇仁田ゆみ

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