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「ジャケ萌え!」2冊目『わたしの宇宙』【前編】

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読むだけじゃない、見て触って嬉しい単行本。なんだかカッコイイ! 可愛い、きれい、オシャレ!そんなグッとくる「マンガの装丁」の魅力をお届けする連載企画が「ジャケ萌え!」です。
装丁を見るだけで内容が気になってしまう、そんなたまらない"見た目"をしたおススメ単行本をピックアップし、見どころや舞台裏などを紹介していきます!



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第2回目は野田彩子さんの『わたしの宇宙』。中学2年生の津乃峰アリスは、同じクラスの星野宇宙から「この世界はマンガで、僕はその世界の主人公だ」と告白される。
......そう言われてみると、確かに見える「フキダシ」。常に"何者か"に読まれている--世界のその先にある真相とは!?
話題を呼んだメタマンガの装丁について、デザインを担当したchutteさんに「この装丁、どう決まったの?」にこたえていただきました!



ドキュメント! 装丁が決まるまで


[1]chutteさんから野田さんに絵作りを提案
まずはカバーの絵をどんなものにするかについて、chutteさんから提案が行われました。そのアイデアがこちら。


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登場人物を描いている手を描いている手があってさらにそれを描いている人がいてさらにそれを登場人物が描いている......というメタ構造がループしている考え方。



[2]野田さんからの提案
『わたしの宇宙』はメタマンガなので"このマンガを引いて見ている状況"を表したかったというchutteさんの案に対し、野田さんからは「マンガを描いている作家・作者自身は描かないで/人間の存在を表現しないで欲しい」という返答がありました。


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野田さんと豊田さんによる下書き・スミ入れ・カラー清書が混在したイラストのアイデア


この野田さんのラフが、発売された第1集のベースになっているのがわかります。この案は『わたしの宇宙』の複雑なテーマを、読者にわかりやすく伝えるのが狙い。
編集者の豊田夢太郎さんと書店関係者によるブレストから生まれたイメージもここに反映されているのだとか。


ここでほぼ原型ができあがっていますね!



[3]ブラッシュアップ!
作品テーマをコマ割で見せる方法はメタマンガをわかりやすく伝えるひとつの解ではあるけれど、これまで多くのマンガ装丁になっているアイデアだし、コマ割で野田さん独特の画風が小さく見えてしまうのはもったいない......と考えたchutteさんは『わたしの宇宙』の挑戦的な作品内容をより装丁に反映させようと試みます。


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こちらがchutteさんの新たな案。表1(画面向かって左)、表4(画面向かって右)、両ソデ(カバーの折り返しとなる部分)をコマ割として捉え、それぞれに時間の流れをもたせています。


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また、イラストが原稿用紙に描かれた設定にすることで"このマンガを引いて見ている状況=このマンガをモノとして見ている状況"を表現しているのです。


「はじめは普遍性を持たせるために架空の原稿用紙にしようと考えていました。でも『わたしの宇宙』という形而上的なタイトルの物語が、『IKKI』という特定の小さな場所で展開されている事を明示した方が可笑しなリアリティが出て、作品の特異性が際立つと思い「IKKI特製原稿用紙」をそのまま使う事にしました」(chutte)


ここから数回ラフのやりとりを経て、第1集の装丁が完成!



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カバーとしてだけでなく、一枚絵として見るとわかりやすいです。原稿用紙が重なって、ひとつの流れになっています。
本体表紙だけでなくカバーを広げてみるとまた別の見方ができる、というのは新たな発見。『わたしの宇宙』だけでなくお手元のマンガのカバーもぜひ広げてみてください!



そして第2集では、これまでのやりとりから『IKKI』の存在とマンガをモノとして見ている状況を表すことがポイントだと考えたchutteさん。野田さんのラフから"雑誌を開いてマンガを見ている状況"をデザインに落とし込みました。


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「本来、雑誌を開いた場合はノドを〈谷〉として見るのに、これを絵にしてカバー装にするとノド部分が〈山〉になります。そんな矛盾した構造も作品の世界に合っていて面白いのではないかと思っています」(chutte)


このラフデザインから、こうなります。


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第2集カバーの完成バージョン。細部にも遊びが入っています。



「第2集では雑誌=印刷物を見ている設定なので、イラスト周辺はわざとアミ点が見えるように加工しました。気付いてもらえそうもないので、この場をお借りして大きく載せていただきます」(chutte)


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単行本データ

『わたしの宇宙』 野田彩子
[判型]B6判(128×182mm)
[カバー]ミルトGAスピリット スーパーホワイト 四六判110kg 4C+マットニス
[編集]豊田夢太郎
[デザイナー] chutte



★ジャケ萌えMEMO★ ここまで読んでいただいた方にはすでに伝わっているでしょう、この職人魂が!!! 『わたしの宇宙』は、登場人物が"何者かに読まれている"と気づいていて、そこから物語が展開されるという複雑な構造をもつ作品。 カバーを広げてみると、カバーを広げている自分までもが『わたしの宇宙』のメタ構造に引き込まれている......もしかしたらカバーを広げている私も見られているかもしれない? そんな考えがぐるぐると頭をループしてきます。 この装丁は、読んでいる読者がいてこそ完成する装丁である! そして、chutteさんが担当した数々の装丁を見ていると「作品に寄せてくるデザイナー」という印象を受けます。 後編では『わたしの宇宙』の装丁のポイントや、chutteさんご本人についてインタビューします!


 >>「ジャケ萌え!」2冊目『わたしの宇宙』【後編】へ続く



■ジャケ萌えバックナンバー
 【新連載】「ジャケ萌え!」1冊目『SEIKI -土田世紀 43年、18,000枚の生涯-』【前編】
 【新連載】「ジャケ萌え!」1冊目『SEIKI -土田世紀 43年、18,000枚の生涯-』【後編】



(ライター:川俣綾加)


フリーライター、福岡出身。デザイン・グラフィック/マンガ・アニメ関連の紙媒体・ウェブ、『マンガナイト』などで活動中。著書に『ビジュアルとキャッチで魅せるPOPの見本帳』、写真集『小雪の怒ってなどいない!!』 http://ayamata.jugem.jp/

【2014/12/ 9】

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わたしの宇宙 1
野田彩子

わたしの宇宙 2
野田彩子

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