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祝『ゴルゴ13』連載50周年!【毎週一冊『ゴルゴ13』】このゴルゴがすごい!【第3回】第3巻「狙撃のGT」

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今年2018年は、さいとう・たかを氏が『ゴルゴ13』の連載を開始した1968年から、ちょうど50周年のアニバーサリーイヤー!!
コミック界のレジェンドキャラクターであることはいうまでもありませんが、ギネスにも登録されている巻数に、読むのをためらっている方もいらっしゃるかも。
でも、ご安心ください!

『ゴルゴ13』は、基本的にそれぞれの巻、そしてそれぞれのエピソードが独立した読み切りエピソード。年齢・性別に関係なく、どこから読んでも楽しめます!

この50周年をきっかけに、年齢も性別も関係なく人々に愛される『ゴルゴ13』の魅力や、名エピソード・名ゼリフを、毎週1冊ずつ単行本を読んで紹介していく本企画。


第3回目の「ここがすごい!」ポイントは、バリエーション豊かで挑戦的な傑作群がひしめく『ゴルゴ13』第3巻「狙撃のGT」です!



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SPコミックス『ゴルゴ13』(3)狙撃のGT(試し読みもできます!)




この第3巻は「スペクタクル映画」的なエピソードが盛りだくさん。
どれもオススメなので軽く紹介しますと、

  • 高速鉄道に乗車しているターゲットを、走行中の自動車から狙撃するという神業を見せる表題作「狙撃のGT」
  • ゴルゴが迷い込んだ西部劇のような町でならず者集団と対決する「駅馬車の通った町」
  • 地中海マルタを舞台に、狙撃ターゲットと、その協力者の女性の純愛をスコープ越しに目撃するラブロマンス回「メランコリー・夏」
  • ゴルゴ逮捕のために囮捜査を仕掛けたICPO(国際刑事警察機構)に対し、刑事の職を辞してゴルゴとの男と男の直接対決を望むバニングスの刑事魂を描いた「猟官・バニングス」

など、いずれも、キャラクター、舞台、トリックともにバラエティに富んいて、読み終わったあとに、まるで一本の映画を見終わったような充実感がある名作ばかり。
第三巻でご紹介したいエピソードは「ベイルートVIA」ならびに「最後の間諜・虫」の2編!
なぜ2編かというと、これらは別々のエピソードながら、ある一点においてリンクしているからなるんですね。


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まず、「ベイルートVIA」の冒頭では、これまでゴルゴに「一杯食わされた」各国の諜報機関のお偉い方が、文字通り一堂に会しているシーンから始まります。


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米国CIAのフーバー! ソビエトKGBのキニスキー! 英国MI6DGのヒューム! フランス情報局のオマイリイ!
過去、ゴルゴと対立した各国の諜報機関の最高幹部がなぜ極秘の集会を? 
もしや、彼らが束になって、ゴルゴを潰そうという、激アツ展開か!? 
と思いきや、さにあらず。
彼らは全員、ある「共通の敵」......その存在を排除しなければ、それぞれの国に多大な影響を及ぼすある存在に頭を痛めているというんです。
そして、この歴戦の強者どもの会議に割り込むのは、意外な人物。
「ねえ皆さん、この6匹の毒蜘蛛とサソリを戦わせたらどちらが勝つと......お思いになります」


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毒虫7匹を手に、諜報組織のビッグフォーに親しげに話しかける老修道尼、シスター・ヨシュア。このキャラの立ち方......ただ者ではありません!

その彼らが排除したい「6匹の毒蜘蛛」こそが「スパイダー6」


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レバノン軍との停戦に合意したPLO(パレスチナ解放機構)の中にありながら、未だ「断固戦うべし」の姿勢を崩さない「主戦派」のパレスチナ・ゲリラの6人。彼ら「スパイダー6」の英雄の存在が、中東和平のための「地雷」となっているというのです。
そこでシスター・ヨシュアの助言に従い、米ソ英仏の諜報機関のトップは、「6匹の毒蜘蛛」の元に「蠍(スコーピアン)」を差し向けることになります。
その「蠍」こそが、我らが「ゴルゴ13」というわけです。
新聞記者に化けたゴルゴは、パレスチナ・ゲリラのリーダー「スパイダー6」の懐に潜り込み、彼らと対決していくのですが、最後の一人が、気になる言葉を残して息絶えます。


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「お、おれたちを殺して......一番とくをする......のは! ......虫(インセクト)......や、やつに...お......ま......え......」

からの「END」!
そして「最後の間諜―虫―」に突入します!


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舞台は戦乱の中東パレスチナから、永世中立国スイスへ。
このエピソードは、ゴルゴと長年にわたって信頼関係を築いてきた「スイス銀行」の頭取・グリンヒルが、何者かの命令でゴルゴを裏切り、殺害しようする......といういう驚愕の展開から幕を開けます。
頭取を脅し、ゴルゴを殺そうとした者の名は「虫(インセクト)」!


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「スイス銀行資本を動かせるとなるとその実力は......
 おそらく世界におよんでいるはずだ......
 報復にしろ、死にしろ......おれの行く道はひとつしかない......」

当時、連載で読んでいた人の中には、「最後の―虫―」のタイトルといい、身内の裏切り展開といい、前回のボスキャラ大集合といい、「もしかして最終回か!?」と思ったんじゃないかと思わせるくらい、クライマックス感を盛り上げてくるこのエピソード。 
ゴルゴも、おそらくあいつが「虫」だろうという見当はついているものの、証拠がない......そこで、ゴルゴはこれまで彼が稼いだギャラの全額600万ドルをスイス銀行から下ろして、一世一代の大勝負に挑みます!


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ゴルゴは600万ドル(1ドル=360円の時代ですから21億円超!)を使い、調達屋に、


  • メッサーシュミット109(ナチスドイツ空軍の戦闘機)×2機

  • ダグラスDC4型旅客機(アメリカ製大型旅客機)

  • それらの優秀な搭乗員 

  • 大戦中のコスチュームを着たエキストラ30名


などを「20日以内にたのむ」と要求をします。この無茶振りに目を白黒させながらも応じてしまう調達屋もプロです!
ゴルゴは全財産を費やして用意した、これらのものを使い、どうやって「虫」の正体をつきとめるのか。
 そして、そこまでして彼が突き止めようとした宿敵「虫」の正体とは!?
 ゴルゴ史上でも記録に残る必要経費は、果たして高くつくのか、安くつくのか!?
 空前絶後の制作費をかけて製作される虚々実々のストーリー! 
ぜひお読みください!


【今回のプロ&ダンディーな名言】

「たったひとつ......針の穴を通すような可能性がある!!
おそらく......二秒とタイミングが狂えば、すべてむだになるだろう......
 その可能性にかけてみるかね?」

(『狙撃のGT』より)


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 文化大革命まっただ中の中国から西側に亡命しようとする中国の要人・王徳明。
CIAの手引きを受け、時速110キロで走るアルプス横断列車トランサルピン(トランス・アルピン)で脱出する王の狙撃を中国の統一戦線工作部から依頼されたゴルゴは、わずかな狙撃のチャンスを探し出し、走行中のスポーツカーからの狙撃に挑みます。
特筆すべきなのは、普段は一匹狼のゴルゴが、この不可能な狙撃を可能にするために、「その可能性にかけてみるかね」とゴルゴの方から積極的に依頼者に協力を求め、依頼者側のプロフェッショナルたちとの連携のもと、秒単位の緻密なリハーサルを行い、不可能を可能にしているということです。
『最後の間諜 ―虫―』の調達屋もそうですが、プロフェッショナルの仕事は、自分一人を信じることだけでなく、他のプロフェッショナルを信頼し、協力を仰ぐことも大切だということでしょうね。

次回は、第4巻「査察シースルー」より、お届けします!


(文・山科清春)

【2018/05/28】

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