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発表!第1回スペリオール次世代マンガ大賞!! 大人気漫画家5人が白熱の議論を交わした緊張あふれる審査会の様子を完全公開!!

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綺羅星の如き、漫画界の現在進行形レジェンド達。彼らが小学館の会議室に集まるという異常事態の目的は、第1回次世代マンガ大賞の選考だった。


本日発売の「ビッグコミックスペリオール」2018年9号で遂に発表された「第1回次世代マンガ大賞」選考結果。スペリオール編集部では、人気漫画家達が白熱の議論を交わした審査会の様子を会議室の中に留めておくのは惜しい! と、その内容を余すところなく記事化して完全公開を決断!!


受賞作の発表と同時に本誌で公開された内容を、コミスンでも完全同時掲載します!!
2時間以上にわたって会議室を満たしていた緊張感と幸福感を、ぜひ体感してください!!



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<第1回次世代マンガ大賞審査会 参加者>

 浅野いにお(『ソラニン』『おやすみプンプン』『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』『零落』)
 奥 浩哉(『GANTZ』『いぬやしき』『GIGANT』)
 押見修造(『惡の華』『ぼくは麻理のなか』『血の轍』)
 花沢健吾(『ルサンチマン』『ボーイズ・オン・ザ・ラン』『アイアムアヒーロー』)
 柳本光晴(『響~小説家になる方法~』)
 菊地 一(「スペリオール」編集長)



『次世代』に求められることとは


菊地 今回の次世代マンガ大賞は、「スペリオール」が創刊30周年を迎え、残念ながら新人があまり育っていないという反省点に立ち、いまさらですが育てていきたいというものです。新人は、基本的には時間をかけて育てていくものなので、一発の賞でどうこうと考えているわけではないですが、第1回ということで、一流の方々に審査していただくことで、今後に繋げていきたいと思っています。


司会 まずは皆さんから総評をいただきたいと思います。


浅野 何をもって「次世代」か考えた時に、現状の雑誌に載っていて違和感がないというのは違うだろうと考えて、完成度が高いこなれた作品よりも、絵が下手とか、構成が雑とかツッコミどころはあるけれども、作家としての気概が感じられるような作品を高く評価しました。
僕の中では『くるくるくるりん』がズバ抜けて面白かったです。前半と後半でガラっと絵柄が変わりますが、普段の作風がどちらか全然わからなくて。後半の絵柄だったら、今後は興味ないなという感じですが、そういう振り切れ方ができることを評価しました。果たしてこれが大賞にふさわしいかは疑問なんですけれど、僕はいいと思っています。



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浅野氏激推しの『くるくるくるりん』



 僕がこれまで審査員をやってきた中でも粒ぞろいで、ちゃんとまとまった作品が多い印象です。『くるくるくるりん』は構成が面白くて、エンターテイメントという意味では一番でしたが、『委員長、草をむしれ』の方が将来性でひとつ抜けて、大賞にふさわしいんじゃないかと思っています。作者の年齢も18歳と若く、絵も魅力的でオリジナリティーがあると感じました。


押見 自分が「負けた」と思うポイントがあるかを基準に考えましたが、全面降伏するような作品はなかったです。最高点をつけた『グロウ』は、絵の上手さとか、友情でも愛情でもない、一言で「兄弟愛」というには色々こぼれるものがあるような男性キャラ同士の繋がりが描かれているのにグッときて、「負けたな」と思った。『ひまわり』は、色々な絵のバリエーションがある中で、ラフだけれど上手い人だなと思いました。



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押見氏をうずかせた『グロウ』の兄弟愛



花沢 僕も「次世代」ということを重点に選んだら、『委員長、草をむしれ』と『ひまわり』がいちばん伸びしろがあるんじゃないかなと。単純に年齢が若いということだけでも差を感じました。個人的には『行け!稲中卓球部』の古谷実先生の様な才能を発掘できる可能性を期待していたので、そこに至らなかったのは残念なんですけれど、『ひまわり』はどんどん変化して、数年後にはまったく違う絵を描いていそうな期待感もあるので一番高い点を与えました。『委員長、草をむしれ』は非常にバランスがとれていたので、妥当な点かなと思っています。


柳本 僕もある程度年齢を加味して、伸びしろと、編集者がついてエンタメを叩きこんだら面白くなりそうかということで選びました。単純に面白さだけなら『くるくるくるりん』ですが、どこかこの人に三〇〇万円を渡すのか...と思ってしまうんですよね。『パレ―シア』はいかにも大賞っぽい作品だと思いましたが、面白いのかと言われると......。
そう考えると『委員長、草をむしれ』は18歳で凄く上手いので、将来性がある若い子の才能を見出したいんですけれど、あまり若い子に大金をあげるのもよくないなって思うんですよね......。


一同 (笑)


浅野 大丈夫だと思いますよ。三〇〇万円くらいでおかしくなるなら、そういう人ってことなので。その人が売れてくれた時には、もっと入ってくるんだし。



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瑞々しい魅力を放つ本命『委員長、草をむしれ』



菊地 柳本さんが『ひまわり』に0点をつけているのは何故です?


柳本 好き嫌いの話ですけど、これだけはすいません、分からなすぎるので...。しゃらくさい。絵が下手なくせにカッコつけている。5年後、古谷実さんみたいになっているかもしれないですけど......。僕も『稲中』は大好きですが、当時、1話目だけ見て面白くなるとは思わなかったので、そういう才能を見抜く目が無いのかもしれない。でもこれに三〇〇万円? さっきから俺だけ金、金、金と言っててすいません。



個々の作品をめぐり、議論は激化...!


司会 皆さんの採点を集計した結果、上位から『委員長、草をむしれ』『くるくるくるりん』『グロウ』『パレーシア』『ひまわり』『終わりの季節』となっています。



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10点満点で採点。票の割れ方が興味深い。審査員も本気である。



菊地 点数は相対的なものなので、必ずしも得点通りの順位でなくてもいいでしょう。『委員長、草をむしれ』『くるくるくるりん』と、総合的に柳本さん、奥さん以外が8点を入れた『ひまわり』。あとは押見さんが10点と最高評価の『グロウ』あたりが大賞候補になるんじゃないかと思います。


浅野 『くるくるくるりん』がズバ抜けていると思いますが、あえて次点をあげれば『ひまわり』ですね。


 僕はもうほとんどこの順番で。


押見 僕は『くるくるくるりん』がいまいちだったので、大賞には反対派です。『委員長、草をむしれ』はすごくセンスのある人だと思いますが、キャラがとても少女漫画っぽく感じるんですよね。『グロウ』の方は僕のBL脳が反応したんですけれど、少女漫画脳がないので『委員長、草をむしれ』には反応できなかった。皆さんの話を聞いて、たしかに「スペリオール」に載れば、ある意味、新鮮なキャラになるなと思ったので、賞を獲ることに異論はないです。


浅野 僕も『委員長、草をむしれ』がピンとこなくて。キャラクターの感情が一直線で、漫画的な面白さはあるんですけれど、コミュニケーションが描けてないから人間が動いているように見えない。もしかするとそれが少女漫画的なのかもしれませんが、特別新鮮さを感じなかったので、大賞ではないと思っています。


柳本 僕はよく少女漫画原作の映画を観ているんですけど、ごく普通でちょっと気の弱いワタシが俺様系の男の子と出会って、「何こいつ」って言いながらちょっと本人が変わっていくという、すごくオーソドックスな少女漫画の話だと思いました。


浅野  18歳でこれを描いているということは凄いと思います。教えればすごくできるタイプの人かもしれないので、そういう意味で作家としてはいいかなと思うんですけれど......。


柳本 よくこれを少女漫画誌じゃなく「スペリオール」にもってきたな、というところで面白いというのはちょっとある。


 僕はさっきあげた二つ以外はそんなピンとこないですね。『パレーシア』は確かに「これが大賞だよ」と載っていれば、サブカル系の人に対して表向きの体裁が整う気はしますけれど、本気で選ぶなら将来性のある子がいいかなと思います。


花沢 僕は『委員長、草をむしれ』と『ひまわり』を推すんですけど、『委員長、草をむしれ』には「スピリッツ」の『恋は雨上がりのように』的な期待を感じるんですよね。雑誌的にも違和感があるし、これが載れば雑誌の色も明るくなって、もしかして女性読者も呼び込めるかもしれない。そういう可能性をちょっと感じています。
正直、大賞になった人はあまり伸びずに、入選くらいで落ち着いている人のほうが可能性があったりするので、この二つが大賞にならなくてもいいと思っています(笑)。



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大作感は一番あった『パレーシア』。



柳本 『パレーシア』は大賞っぽい作品ではあるんですけれど、この人は編集者から見て伸びるんですか? 僕はサブカル志向がないので、ちんたら長くていらないシーンだらけだと思うんだけれど、ひっかかるところはあるので。単純に16ページ、20ページにまとめたら普通に面白いんじゃないかなと。



「ヘタウマ」なのか? 「下手」なのか?


菊地 あえて、これだけは「大賞」は嫌だ!というのはありますか?


柳本 『ひまわり』ですね...。山本直樹先生の昔の作品を、すごく絵を下手にしただけのような、90年代サブカル感が......。


菊地 一応、大賞は出さないといけないのですが、浅野さんの『くるくるくるりん』への熱がすごく高いのを感じているので、そういうので決めてもいいかなと思ったりもしています。


司会 菊地編集長はどう評価しているんですか?


菊地 自分は『委員長、草をむしれ』が。『くるくるくるりん』もそんなに悪いと思っているわけではなく、どちらが大賞でも異論はないです。


浅野 ちなみに菊地さんは『ひまわり』はどういう評価ですか?


菊地 面白かったですね。ちゃんと人間を見る目線をもっているし、好みなんですけれど、一方で今まで何十年かこういう審査をしていて、残念ながらこのタイプの方には将来性に疑問もあります。『委員長、草をむしれ』は浅野さんが言われたこともなるほどですが、絵が上手いのと、うちの雑誌にいい意味で違和感が入るのかなという感じで最高点をつけました。好みでいえば『ひまわり』のほうですけれど、まあ編集部としての視点というか。



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筆ペンで仕上げた『ひまわり』。


浅野 僕も雑誌の取り合わせで考えると、『委員長、草をむしれ』はすごく目立つという意味でのよさはあると思います。『ひまわり』は僕も好き嫌いでいうと好きなんですけれど、やっぱり「新人コミック大賞」の審査とかやっていると、十人に一人はこういう人がいて、一度の応募きりでどこかに消えちゃう。この人に三〇〇万円あげちゃって、このノリで連載してみろっていうのもひとつの賭けかなと思うんですよね。単行本1冊分でも描かせて、それがどういう評価になるのかは気になります。『くるくるくるりん』に関してはすぐ商品になる。このまま本にして出せば、そんなに売れないかも知れないけれど。『グロウ』は技術的にはなにも言うことはなくて、僕の点数が低いのはBL感が強すぎたから。そういうのが好きな人であれば他になにも問題がない。


花沢 BL雑誌に載ってたら何も問題がないですね。


浅野 『パレーシア』はすごく真面目な漫画ですけれど、今後これ以上のものを描けるようになるのかっていうのがやや疑問。このままこのテンションのものを描き続けるんじゃないかと思っちゃう。


押見 『ひまわり』の人は、筆で描いているからこう見えますけれど、たぶんちゃんと絵の勉強をして描いたらすごく上手い人なんだと思うんですよ。それとストーリーが描けるかどうかっていうのは別の問題ですけれど。


浅野 もしかしたら永遠にこのクオリティしか描けない可能性もあるかな...。


押見 そうですね、絵を上手くなろうとしなければこのままかも......。


柳本 丁寧に描こうとする気概が感じられないのが、気になったったんです。僕は!


浅野 この下手さみたいなものが、手抜きなのか本気なのかわざとなのかで、だいぶ変わってくると思うんです。わざと何かやりたいという気持ちがあるなら、それがいい変化になる気もするんですよ。実際、本人に会って目の前で絵を描かせてみないとわからないところがある。


柳本 この絵が「スぺリオール」に載ってるのは想像できない(笑)。



『委員長、草をむしれ』vs『くるくるくるりん』...どっちが大賞?


浅野 大賞を獲ったら連載確定というのがこの賞の特徴だと思うので、自分としては『委員長、草をむしれ』を連載という形まで持っていって、どういう結果になるのかは興味あるんですよね。やっぱり最終的に売れるのはスタンダードな王道の部分をもっているものだったりするので、もしかしたら大きく転がっていく可能性がある。逆に『くるくるくるりん』とか『ひまわり』は、一部の人は好きと言うかもしれないけれど、大きくはならないと思うので。


柳本 僕はそれならまだ『くるくるくるりん』のほうがいいかと。ただ、これが大賞となった時に、なにか変な感じがしてしまうんですよね。


浅野 『くるくるくるりん』は、こういう少しエッジの立った作品の新人賞をやった時の、既定路線の漫画だという気もするんですよね。ある意味で一番ギャップがあるのが『委員長、草をむしれ』で、これが大賞で三〇〇万円だといわれたら、ちょっとびっくりしません?


柳本 そうなんですよね、すごいオーソドックスな王道が来たなっていう。絵は本当にすごいと思いますけれど、内容は本当に、少女漫画にはよくあるなというレベルで。


花沢 『くるくるくるりん』は2話目が見てみたいんだよね。こういうのを毎回、読み切り的な感じでやっていける力があるなら本当に素晴らしいですけど。


浅野 そうなんだよね、これだけだと評価しづらくて。同じようなギャグをもう一回やられたらもう面白くないから。これがまぐれだという可能性もある。


柳本 いろんな切り口を見せてくれるんだったら、という意味で2作目を見たい。同じのを描いてこられたら、ああそうなんだってなっちゃう。


押見 そんなに引出しの多そうな人には思えないんだよな......。


花沢 そこが怖いんだけれど、化けた時は大きいかもしれない。『委員長、草をむしれ』のほうは無難というか、ちょうどいいところに落ち着いたかなっていう感じになっちゃう。


柳本 僕は『委員長、草をむしれ』は、少女漫画によくある作品だなという評価からどうしても出ないので...。


浅野 仮にこの人が「スペリオール」で連載するとなった時に、本人はどういう心持ちでやっていくんだろう? 少し描けるようになったら、のびのび描ける少女漫画の方にいこうと思ったとしても不思議ではないですよね。


柳本 わぁ、三〇〇万円もちにげだ......!(笑)


花沢 これを青年誌用に、男の読者が読んでもOKなように作り替えてくれと言ったら、やってくれそうかというと......。


浅野 今後もこの賞が続くかわからないですけれど、今回、何が選ばれるかで、次の応募作品がなんとなく決まってくると思います。


柳本 『終わりの季節』は、僕だけアホみたいに低い点を入れているんですけど、いいんですか? 僕はいいんですけど。


菊地 花沢さんはいかがですか?


花沢 読んだときの面白さ的には一番かもしれないですね。


 僕も好きでした。


柳本 僕はこれも『ひまわり』と同じような評価なんですが...。


浅野 僕も話はけっこう好きで、いいなと思うんですけれど、この絵柄、この内容でやるならせめてもう少しひっかかる台詞が欲しかったというか。そういう部分でトータルで上位にならなかった感じですかね。



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ストーリーは高評価な『終わりの季節』。



いよいよ最終投票!!


司会 ではここで一人1票の投票で大賞を決めたいと思います。


■結果
『委員長、草をむしれ』 奥浩哉、押見修造、菊地編集長
『くるくるくるりん』 浅野いにお、花沢健吾
『パレーシア』 柳本光晴


司会 投票の結果、大賞は『委員長、草をむしれ』ということでよろしいでしょうか。


浅野 編集長特別賞と審査員賞はどうしますか?


菊地 今回は編集長特別賞は該当無しです。『グロウ』は自分はあまり評価をしていませんでしたが、押見さんはいかがですか?


押見 そうですね、完成度という意味ではいちばんよかったので賞をあげたいです。


菊地 では『グロウ』は押見さんから審査員特別賞ということで。『ひまわり』は、花沢さんがどうしてもというのであれば...。


花沢 『ひまわり』はなにか可能性を感じるので、佳作でどうですか。


柳本 『パレーシア』も佳作にするのはどうでしょう?


菊地 では、『パレーシア』『ひまわり』『終わりの季節』を佳作で。これで全ての賞が決定です。結果を受けて何か言いたいことがあれば。


浅野 僕としては『委員長、草をむしれ』は、今後の雑誌の方向性や、とりあわせを考えると興味があるんですよね。少女漫画志望の18歳の女の子を青年誌の畑につっこんで、担当がついてどんな変化を見せるのか、僕はもうむちゃくちゃにおかしくなればいいと思っているんですけれど(笑)、そういう事故みたいなものを期待して大賞にまったく異論無しです。


柳本 僕もいいと思います。担当の責任がすごく大きくなると思うけれど、とにかく数を描かせてほしいですね。僕が18歳の時に三〇〇万円持ってたら絶対、超遊んじゃうと思うし。そうならないように尻を叩きまくってください。


司会 それでは、第1回次世代マンガ大賞中田アミノ『委員長、草をむしれ』ということで決定いたします。審査員のみなさんありがとうございました!


そして、応募者の皆さんに、改めて感謝と敬意を。ありがとうございました。 スペリオール編集部一同



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「スペリオール」2018年9号では、最終審査結果の発表とあわせて、大賞『委員長、草をむしれ』(中田アミノ)、入選『くるくるくるりん』(冨手優夢)の2作を本誌掲載!! さらにスペリオール公式サイトでは審査員賞、佳作の4作品を掲載しています!!「スペリオール」が選ぶ次世代の才能はいかなるものか......? ぜひその目で確かめてください!!



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「ビッグコミックスペリオール」2018年9号は4月13日(金)頃発売です!!



(スペリオール編集部/取材・構成:平岩真輔

【2018/04/13】

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